人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ぱっぱ


素敵な方言(幼児語)に出会った。「ぱっぱ」という言葉だ。朝の駅のプラットホーム。そのおばあちゃんは幼い孫2人を連れてホームに設けられたベンチに座っている。隣に座った同世代の主婦との会話で、そのおばあちゃんと孫の状況が次第に分かってくる。久しぶりに訪ねてきた孫を連れて、そのおばあちゃんは、外へ連れ出した。目的は大好きな電車に乗ること。孫たちがおばあちゃんの周囲を駆け回っている。

そしてホームにまもなく電車到着のアナウンスが流れる。その時おばあちゃんがいった。「さあ、〇〇君電車が来たよ、手をつなごう」。「さあさあ、△△君はぱっぱするよ」。そういいながらおばあさんは、かがんで背中を孫に向けた。小さいほうの孫が、おばあちゃんの背中に手をかけて背中によじ登った。手をつないだ孫と、「ぱっぱ」された孫が、おばあちゃんと電車の到着を待っている。そして電車が到着し3人は到着した電車に乗り込んだ。

「ぱっぱ」という言葉の響きに、何十年も前の祖父や祖母の背中を思い出そうとした。「寅や。さあ、ぱっぱだよ」。おそらくそんな風にいわれて、私は彼らの背におわれていたのだろう。いうまでもなく「ぱっぱ」はおんぶのこと。ねっとで「ぱっぱ おんぶ」と検索してみると、多くのサイトに阿波弁とか讃岐弁という表示があった。そうか四国の方言なら、当地(播磨地方)に伝播しても不思議ではないだろう。たしかにあの頃、幼少時代の私は祖父や祖母に背に“ぱっぱ”された。

「寅や。さあ、ぱっぱだよ」あの声をかけてくれた祖父や祖母は、すでに鬼籍に入り長い時間が過ぎた。昨日が彼岸の中日。今年は墓参りも行けていない。今朝、偶然出会った「ぱっぱ」の光景は、私にとって何とも懐かしく、あの世(彼岸)の祖父母を思い出す、ありがたい瞬間だった。
by inaminoTORAsan | 2009-03-22 23:25 | 日常のこと


<< 食後の余韻 夢千代の湯町 >>